ともどもの旅          塙喜一郎

  私の住む中部山岳・八ヶ岳南麓の近くには尖石特別史跡や「列島改造」によって数千年の眠りを覚まされた多くの遺跡と遺物たちがいます。今も市による発掘調査があり、学芸員さんから説明を受け学んでいます。雲母をつけて輝くビーナスに驚き、縄文の文化に引き寄せられました。

縄文の文化は深淵で、課題に出会う毎に納得いくまで勉強しています。そうしたことを重ねて、地域の人たちと「お話し会」を開くようになりました。私の関心は止まらず、北陸から東北へと広がり旅に出ます。糸魚川市では、相馬御風が古事記や伝承からヒスイの産地の特定に貢献したことを知りました。大木式土器から円筒形土器へと探求の旅はつづきます。大震災後は被災地訪問と縄文めぐりを重ねています。

旅した印・思い出にレプリカを求めて庭に飾り、語り合う素材にしています。外国への旅に備えて土器と土偶のミニ写真集を拵えました。シベリア鉄道に乗り、ある恐竜博物館を訪ねた際、「日本列島に縄文という文化がありました」、と説明すると、館長は大喜び。恐竜の化石の一部をプレゼントしてくださいました。

今は「明治期の産革遺産」に注目が集まっていますが、自然と向き合い争いがなかったと言われる平和の世界、漆工芸、木組みや生業の道具、陶芸の創造性など現代にも繋がる文化の原型があったことを知って、人々が本当の豊かさを再発見することに繋がればいいなー、と思います。ともどもの旅、これからも続けます。
(山梨県北杜市・三内丸山縄文発信の会会員)


 縄文土偶のレプリカ
縄文土偶のレプリカ