子供を想う縄文の心         後藤 公司 ②


 北海道・東北等の遺跡などから子供の手形・足形の付いた土版が出土しているが、これが非常に興味深い。当時は生まれてからの死亡率が高く、子供が育つ=家の存亡に関わる大事なことであったことから考えると、生まれて青年になるまで大切にされていたと考えられる。現在は子供を殺めたり、虐待したり、など日本全国のニュースで目立つ訳だが、縄文人は子供が未来そのものである。
 子供が病気などで亡くなると、形見の手形や足形を押した土版に穴を開け、保管していたと思われるが、出土したその穴の部分がそこまで磨耗していないということは、亡くなってから常に身に着けていた訳ではなく、住居に飾っていたか、それとも祭祀等の時にのみ身に着けていたのか、想像が尽きない。
 そして更に、三戸町で出土した赤ちゃん土偶もまた不思議な遺物で、赤ちゃんにおくるみを着せたかのような形をしている。これも作られた目的ははっきりしないが、子供が生まれたことへの喜びや愛情を感じる遺物であり、やはり、縄文人は子供思いであったのではないだろうか。当時、おくるみなどがあったかははっきりしないが、生まれた赤子を大切にしていたことは伝わる。縄文人はアニメの『はじめ人間ギャートルズ』などのわかりやすい原始人のイメージよりもはるかに文化的で、技術的にも洗練されており、度肝を抜かれることが多い。人間としての感情も、強さと優しさをバランスよく併せ持っていたように感じる。
 日頃、自分も子の親として生活している中で、縄文人にとっての『子孫を大切にするという心』には尊敬と敬意を表し、縄文人に負けない位の強さと優しさをもって子育てをしたいと思う。
 皆さんも今一度、遠い先祖であるだろう縄文人の子々孫々に守り伝えたい想いはどんなことがあったのか、考えてみてはいかがだろうか。
(青森市・一般社団法人 小牧野遺跡保存活用協議会理事・事業部長)


(左)手形・足形付土版 写真提供/縄文の学び舎・小牧野館
(右)赤ちゃん土偶 写真提供/三戸町教育委員会