縄文塀と縄文食                   遠藤勝裕

 縄文人のくらしは ”自然との共生”が基本、自称縄文人の私も日々の生活の中で可能な限りそうありたいもの、と思ってはいる。しかし実現できているのは食と住のほんの一部、本物の縄文人からは「おこがましい」としかられそうである。

 ところで、我が家は埼玉県所沢市の郊外、住宅、畑地、里山とが混在している地域にある。ここで私が野菜作りを始めてから早や30数年、もちろん農薬類とは無縁、肥料も極力循環を心掛けている。そして野菜は全て自給自足、縄文人同様日々自然の恵みそのものを有難くいただいている。縄文人が得意とする木の実や果実類も栽培しているが、無農薬のブルーベリー、ぶどうなどは鳥達の格好のえさ場、喜々として啄ばむ姿に顔で笑い、心で泣いている。

 さてそんな私が数年前に老朽化した塀の改装を思い立った。空間デザイナーの奥野玲さんに設計を依頼したが、打ち合わせにきた奥野さんが開口一番、「この家には縄文人の息吹が流れている」。私が縄文に傾倒していることなど一切話していなかったため、すっかり驚いてしまった。奥野さんは「この家の縄文の風を活かした作りに」とのご宣託。その結果外回りは独得の紋様塀(写真参照)、猫の額ほどの庭には遮光器土偶のお座り台をしつらえ「家の守り神」に。隣家との境界塀、テラス、玄関回りなどは全て地元飯能の西川材で誂え、地産地消とこれも縄文風と相成った。畑での野良着姿に縄文の風情を感じてもらえれば衣食住全てそろうのであるが…。(三内丸山縄文発信の会 東京支部長)