◆縄文感謝の夏祭り     佐藤良弘


 縄文を語るとき何故か心が穏やかになります。その時既に心は縄文の世界に戻っているからだろうと思います。最近の中東を中心とした血なまぐさいニュースにはほとほとうんざりします。日本に生まれて良かったと実感します。
 昨年八月十日、中新田のバッハホールで縄文感謝の夏祭りを開催しました。第一部は詩人宗左近先生と作曲家三善晃先生の共同作品で『中新田縄文太鼓』からの幕開け、老若男女数十名からなる歌と踊りのおりなす縄文の表現は幻想的でもありました。詩のなかの一節「死んでもいきる」は、まさに縄文の人々の思いそのものでありましょう。その後の、国際日本文化センター名誉教授安田喜憲先生の『縄文の文明史』と題したご講演は圧倒的な迫力で聴衆を魅了するものでした。第二部では小生の作品・縄文歌謡の発表があり、打ち解けた和やかな空気が会場を包みました。雨降る中参加した人は、素晴らしかったと縄文の心をお土産に一杯詰め込んで称賛してくれました。
 このイベントのそもそもの始まりは、元宮城県知事の本間俊太郎先生が主宰する同人誌『遮光器土偶』です。合評会での雑談の中から生まれました。同人誌に掲載される作品は必ずしも縄文をテーマにしたものに限られるわけでもなく、各人がそれぞれ自由な発想のもとに、随筆、小説、評論、俳句、短歌、詩、生活の体験談、思い出話など、ユニークな作品の数々は実に縄文的なものでもあります。年二回発行で、今回十四回を数えました。
 今、我が国では青森県が中心となって縄文遺跡群の世界遺産登録に向けて活発な取り組みが行われておりますが、いずれ縄文文化の発信は世界の思想を一変させてしまうような大きな影響力を与えることになると確信しております。
(縄文の語り部縄文歌謡作詞家)